精神医療の手法として話題となっている「「オープン・ダイアローグ」とは、フィンランドの西ラップランドのケロプス病院を発症とする、精神病クライシスに対して24時間以内に組織されるチームによって患者の生活の場での治療的ミーティングを、各種の社会的ネットワークをまじえて継続して行うというシステムです。このシステムが必ず備えておかなければならないものとして7つの原則があります。①即時に応じること ②ソーシャルネットワークを引き入れること ③個別で具体的かつさまざまなニーズに柔軟に対応すること ④責任を持って対応すること ⑤心理的な連続性を保証すること ⑥不確かさに耐える事⑦「対話」が行われていること ①~⑤はシステム ⑥⑦は実践の理念・思想をあらわしています。また、実践の基本要素として次の12をあげています。①本人のことは本人のいないところでは決めない。②答えのない不確かな状況に耐える ③治療ミーティングを継続的に担当する2人以上のスタッフを選ぶ ④クライアント、家族、つながりのある人々を最初から治療ミーティングに招く ⑤治療ミーティングを「開かれた質問」からはじめる ⑥クライアントの語りのすべてに耳を傾け、応答する ⑦対話の場で今まさに起きていることに焦点を当てる ⑧さまざまな物の見方を尊重し、多様な視点を引き出す ⑨対話の場では、お互いの人間関係をめぐる反応や気持ちを大切に扱う
⑩一見問題に見える言動であっても、「病気」のせいにせず、困難な状況への「自然な」「意味ある」反応であるととらえて、応対する ⑪症状を報告してもらうのではなく、クライアントの言葉や物語に耳を傾ける ⑫治療ミーティングでは、スタッフ同士が、参加者たちの語りを聞いて心が動かされたこと、浮かんできたイメージ、アイディアなどを、参加者の前で話し合う時間を取る
日本でも実践されれば、精神的困難をもつ人の人生は大きく変わっていくと思います。こうした制度が早期に実現されることが望まれます。
ダイアローグが日本各地で実践されることが望まれます。