社会的治癒

初診日は障害年金の請求上、非常に重要な意味を持っている。

①初診日にどの年金制度に加入していたかをみるため、受給する年金額に影響する。

②初診日の前日において、保険料納付要件をみるため、納付要件の基準日となっている。

③障害認定日の起点となり、原則、初診日から1年6ケ月経過した日が障害認定日となる。

社会的治癒は、この初診日の決定に関わるもので、医学上の概念ではなく、障害年金制度上の独自の考え方です。

厚生労働省では、「社会的治癒とは、医療行為を行う必要がなくなって、社会復帰していることをいう。ただし、一般社会における労働に従事している場合であっても薬事下又は療養所内にいるときは社会的治癒は認められない。起因する疾病があっても社会的治癒が認められる場合は、その後に初めて医師の診断を受けた日を初診日とする。」としている。

 その傷病が、医学的には治癒していなくても、自覚的・他覚的に病変や異常が認められず社会復帰し、かつ、投薬治療がなく一定期間(精神疾患では概ね5年程度、傷病によっては10年程度)継続して、普通の生活や就労している場合は、再発後の受診日を初診日として扱うというものです。

この概念は「被保険者の救済のために考え出された法理であり、その性質から言って保険者の側でこの法理を持ち出し、保険給付をしないための論理とすることはできないものと解すべきである。・・・」との社会保険審査会の見解もあります。

しかしながら、社会的治癒が認められるには、受診状況等証明書、診断書、病歴・就労状況等申立書等の書類において、専門家による視点が必要に思われます。

PAGE TOP